リスニング効果を上げる英語上級者向けシャドーイングおすすめ方法

こんにちはMegです。
今回は英語のリスニング力を上げたい生徒さんに向けて効果的なシャドーイング方法をご紹介したいと思います。シャドーイングは、ネイティブの音源を聞きながら、0.2秒くらいおくれてそのまま音について発音していく方法です。
この方法はリスニング力やスピーキング力を上げていく上でとても効果的です。ただ、自分のレベルにあった適切な方法で行わないと、効果的な上達にはつながりません。
TOEICで900点取れたのに、英検1級合格できたのに、「やっぱりまだ英会話が聞き取れないです、どうしたらいいですか?」というご相談を時々、生徒さんからいただきます。
シャドーイングのやり方は、初級者と上級者では少し異なります。今回は上級者の方向けにリスニング効果を上げる方法をご紹介します。
今回の要旨:
英語上級者のためのシャドーイングは、
■少し簡単な素材を丁寧に「聴き込む」ことが必須
■発音記号を理解し、精度を上げ、スピードを落とす
■たくさんの素材を薄く広く使うのではなく、少数の素材を憶え込むくらい使い切る
「聞き取れない」と悩んでいる生徒さんに、どういうシャドーイングの方法を実践しているのかをお聞きすると、多くの方が「英語の素材を聞いてそのままついて発音しています」と回答されます。基本的にはそれで正解なのですが、TOEICの高得点取得者や英検上級合格者はその方法では不十分なのです。
また、素材でドラマや映画を使っている方は、まずはニュースやプレゼン、教科書的内容などの「規定演技」素材を使うことをお勧めします。ドラマや映画は、スピードが速すぎたり俳優によっては滑舌の良くない人もいます。定着していない最新の表現やスラングも使われる場合も多いからです。しかも、ついついストーリーの方に気が向き、「音を聞く」こと以外に注意力が乱される「誘惑」が多いからです。
規定演技が身に付いてから、ドラマ・映画系に進むことをおすすめします。

■リスニング効果をもたらすシャドーイングおすすめ方法
1) 苦労しなくても理解できるくらいの素材を「聴き込む」
まずはどんな素材を使って練習しているかを確認しましょう。音源は、
● 明確で聞き取りやすい発音か?
● 特殊なテーマでなく、意味が分かる一般的な内容か?
● 相手に聞かせようと思って話している素材か?
これらの条件がそろっていれば、教科書であれ、TED Talksであれ、ニュース放送であれ、ネイティブの話している音ならOKです。何か一つ自分の得意そうな素材を選んで徹底的に聴き込みましょう。
その際にわからない単語やフレーズがあれば、チェックします。あとでその意味は確認し、理解します。それ以降は一切文字を見ない覚悟で、最低50回くらい聞きます。
好きな歌を歌う際、考えなくても次の歌詞が自然に出てきたりします。それは何度も聞いているからです。考えなくても次の語が自然に出てくるくらいになるまで、英語の素材も脳や体に浸透させます。
そのためには、英語音源をBGMみたいに流しながら、さらっとついていくだけでは不十分です。自分の声も聞こえてしまい集中できないからです。イヤホンでしっかり音源を聴くことに集中してください。最初の数回は、口に出さずに聞くだけでもいいです。「一語一句聞き漏らさないぞ」くらいの覚悟で聞きながら、耳でネイティブの音についていきましょう。
まずはそこまでが準備段階です。

2) 発音記号を理解し、精度を上げ、スピードを落とす
準備が整い集中して何度か聞いたところまで来ました。ここからが勝負です。ここからは0.2秒くらいおくれて自分も音源について発話していきます。イヤホンはつけたまま、リスニングの集中力は落とさずに、即座に同じ音を口に出します。
上級者の方々は、何回も聞くと音源の英語の意味はわかると思います。しかし、意味を理解するのが目的ではなく、小さな音も正確に「ピンぼけしていない写真」のようにパチッと聞き取れることが目的です。
ですから、文章の意味が分かってもすべての音を聞き分けられるようになっていなければ、ほかの素材に応用できません。これが次の項目で説明する「少数素材を使い倒す」理由です。
何十回も聞いて文章の意味は分かっても、一つ一つの発音記号は分かっていますか? これをやるかどうかで、1つの素材で学習したことをそれ以外の素材に応用できるかどうかが決まります。なぜならパターンがあるからです。そのパターンを一つの素材で徹底的に身に着ければ、新しい素材に出会ったとき自然に応用できるようになります。
まずは、ちょっと怪しいなと思う単語やフレーズの発音記号を調べましょう。例えば、secondという誰でも知っている単語。これはカタカナだと「セカンド」と書きますが、そのようには発音しません。
単語=second 発音記号=/ˈsek.ənd/ です。
あえてカナにするなら、「せくんd」です。発音記号のKの隣にある ”ə” という文字は「schwa(シュワ)」と言われる曖昧母音で「え」や「あ」でありません。「お」と「う」の間にある曖昧な「う」のような音です。だから「セカンド」ではなく、「せくんd」のような音になります。
このような音が聞き取れて再現できるようになること、つまり精度を上げるのが上級者のシャドーイングの課題です。聞いただけでマネして再現できるようになるくらい耳がよい生徒さんもいらっしゃいます。それでも、慣れるまでは発音記号の確認をしていいただきたいです。
子どもの場合は、感覚で話せるようになりますが、大人になってから学ぶ場合は、感覚で再現するのと、理論を理解して再現するのとでは、定着度が異なるからです。
もう一つ落とし穴は、上級者ほどスピードを上げたがる点です。生徒さんにはいつもスピードを落とすようにとお伝えしていますが、多くの生徒さんが「速くペラペラ話す」ことが上達の証と思っています。これは違います。ゆっくりでもいいので正確に、相手が聞き違いしないように話せることが真の上達です。
スピード神話から解放されて、ぜひ精度を上げることに注力してください。発音記号がきちんと理解できて、その音を再現できるようになると、少しぼやけて聞こえていた音がパチッと明確に聴けるようになります。それだけでなく、新しく聞いた単語も応用が効いて聞き取れるようになります。
このプロセスを飛ばして、とにかくスピードと量だけで、音源をBGMみたいに練習してきた方がいらっしゃったら、上記の方法を試してみて下さい。最初は発音記号を調べるのは大変ですが、何回もやってわかってきたら、調べなくても音で聞き取れるようになります。そこまではひと手間をかけてみましょう。

3) 少数の素材を憶え込むくらい使い切る
精度を上げるためには素材を絞り込むことが必要です。手広く浅く練習していると、聞き取りが8割から9割くらいのところで頭打ちになります。私も30年前には「精度」を重要視していなかったので、いつまでたってもリスニング力が8割くらいで止まっていました。
いつも「だいたいはわかるけど、よく聞き違いをしている」、いわばピンボケしたような状態でした。ちなみにその時には英検1級は合格していました。それでも、「くっきりパッチリ聞き取れない」問題はいつも引きずっていました。上記2)で説明した「手間」を飛ばしていたからです。
わかってくるまでのこの「ひと手間」が差を生みます。わかってきたら調べなくても音がキャッチできるようになるので、それまでかけた時間を十分取り戻せます。でも最初にこの「時間=手間」を投資しないと、リターンは少ないです。
おすすめは、英検1級の過去問二次試験のPart2のパッセージか、TEDでゆっくり話すプレゼンターの素材をさらに0.75くらいまでスピードを下げて練習することです。上達するにつれ、それを次第に等倍速まで近づけていきます。
等倍で話せるようになることが目的ではありません。ピンボケのない写真のように、パチッとくっきり聞き取れるようになることが目的です。
そして何十回も何百回も繰り返し練習していると、脳に言葉が浸透して、好きな歌を歌う時のように自然と次の言葉が出てくるようになります。というか、そうなるまで練習するのがおすすめです。なので、自分にとって無理のない練習していて楽しい内容の素材を選びましょう。
【今回のまとめ】
TOEICで900点取ったのに、英検1級受かったのに、やっぱりまだ英会話が聞き取れないのはなぜだろうと感じている英語上級者のためのシャドーイングには、
1)イヤホンつけて集中して徹底的に聴き込むことが重要!
2)発音記号を理解し、精度を上げ、スピードを落とす、この手間を惜しまない!
3)1つか2つの素材を覚え込むくらい何百回も繰り返す!
■でも、それじゃモチベーションが続かないよ、と思われる方へ
発音記号調べて、何百回も聴いて、、、、そんな大変なこと続かないです、という方も多いでしょう。実際、私のレッスンでも最初に上記説明をしたら引きかけた(笑)生徒さんは何人もいらっしゃいました。
それでも「やる!」と決めて受講したら、どうしてもやらなければならないので、毎回課題をしっかりこなされます。何十回と続けると、1回目のレッスンで聞き取れなかった音が、最後の方にははっきり聞き取れるようになったという生徒さんがほとんどです。
この方法を身に着けてご自分でも練習することで聞きとれる音は増えます。もし自分だけでは続けられないという方は、無料の体験レッスンを受けてみてください。初級者の方には初級者用のレッスンもあります。まずはご相談ください。
無料体験レッスンのお申し込みは👇こちら。
https://lion-and-hiyoko.com/contact

■最後に練習問題
次のTEDのプレゼンを聞いて、上記方法でシャドーイングしてみてください。そして、シャドーイングする前と10-20回練習してから聞く際の「聞こえ方」の変化を体験してみてください。
このプレゼンを選んだ理由
・プレゼンターの滑舌が非常によい
・テーマが面白い
・わかりやすい(難しい表現なし)
・短い(3分程度)
Matt Cutts: Try something new for 30 days | TED Talk